Internal models direct dragonfly interception steering | nature (2015)
Mischiati, M., Lin, H. T., Herold, P., Imler, E., Olberg, R., & Leonardo, A.
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脊椎動物の行動は予測・計画的である一方で、無脊椎動物の行動は反射的であると考えられてきた
トンボの捕食行動では、3次元空間内で不規則な動きをする獲物のもとへ自分の体を制御して到達する必要がある
この方法では、トンボは獲物との方向ベクトルを常に一定に保つ様に移動するはずである
しかし、実際に行動実験を行い、この方向ベクトルの変化を計算すると獲物の近傍でしか一定ではなかった
Naa_tsure.iconしかし、計測してみると角度(角速度)を大きく変化させていた
もし、トンボが内部モデルを使用しているならば、獲物だけでなく自分の体に関する情報も利用しているはず
そこで、移動中のトンボの位置だけでなく、体・頭の向きもマーカーを用いてトラッキングした
トンボは獲物に特定の角度(仰角=30°、方位角は距離で変更)で近づき、体の向きは獲物の進行方向と一致
頭の向きは獲物を視野内に収めるように動いており、自分の回転や平行移動によるブレを相殺していた
このブレを相殺するまでのラグを見てみると、視覚入力を元に補正するには短すぎることがわかった
つまり、トンボは自分の身体制御から視野のブレを予測して補正していると考えられる
また、一定速度で移動する獲物に対しても予測的に補正が行われていた
さらに不規則な移動をする獲物も視野内に留めていたことから、
予測的な補正に反射的な補正を重ねて視野内に収めていると考えられる
Naa_tsure.icon行動実験からその動物が利用している制御システムの予測をここまで検証しているのがすごい Naa_tsure.icon初めに行動実験や計算論の観点から注目する神経活動を絞るのがやはり効果的であると感じる Naa_tsure.icon実際に2013のトンボの研究では、神経系の記録からこの行動が反射的であると結論付けていてとても危険
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Mischiati, M., Lin, H. T., Herold, P., Imler, E., Olberg, R., & Leonardo, A. (2015). Internal models direct dragonfly interception steering. Nature, 517(7534), 333-338.